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 WORKS A2
 
A2
A2
2011年9月11日
建築ノ虫で訪れる建築物は、戦後の小品に限定している。小品とは、絵画・彫刻・音楽などで、規模の小さい作品を指す。建築物を作品として扱い、その記念性を時間軸に沿って並べた戦後の建築史。だが都市は匿名性を帯びている。時系列にそって小品で語られる戦後建築史に、おもわず首を傾げる。
それでもあえて、小品を対象としたことには理由がある。都市をアノニマス、匿名性で扱うことは、その記念性とは異なる歴史記述を可能にする。一方で、戦後はあいかわらず現在として扱われている。小品のもつ記念性は竣工年で固定化され更新されぬまま、当時を知る人も建築物も消えていく。わたしたちは先人の足跡、足元のコンテクス トを、見失ってはいないか。
都市における記念性(モニュメント)を、その匿名性と同時に記述することは、いかにして可能か。なぜ戦後が現代と呼ばれているのか。近現代という時代区分に、無意識ではいられない。小品の連続で語られ、なんとなく存在している共通認識を、剥ぎ取る作業が必要になる。設計者とは誰か。竣工が基点だとすれば、その後の変化はどう捉えるか。当たり前のように記載される総覧(リスト)の項目を、再検討しなければいけない。
小品にまとわりついた記念性を丹念に読みほぐし、洗い流された“もの”から、再び可能なイメージを描き出す。虫のように建築物をはいつくばって見るうちに、いつのころからだろうか、お互いにアメリカの話をしていた。それでも物語を描くこと。それが、建築ノ虫の目的である。《A2》はそんな二匹の会話から 生まれた、ドローイングを指している。(t)
   
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