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001 ヒアシンスハウス
 
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復元、あるいは小屋
2009年5月31日
「“もの”を見なさい」と、ある人に言われた。周りの風景はふわふわとして、“もの”の確からしさなど、しっくりこない。見渡せば、建築物はもうそこらにひしめきあっている。関わるのは、もはや野暮ではないのか。
立原道造は24歳で夭逝した詩人である。湖畔に小屋を建てることを想い、ドローイングとスケッチを残したまま、この世を去った。立原の“ことば”は、早すぎる死によって完結する。出来すぎた物語である。
それから時を経て、ヒアシンスハウスは「復元」された。そもそも立原によって実現していないのだから、物語に他人の手が加わることを望まない人にとっては、それは「捏造」でもある。だがそれは今、確かに“もの”として存在している。それは「創造」でもある。
出来すぎた物語に、それでも手を加えること。それは野暮ではないのか。
傍らで見ているのは退屈になってきた。建築は“もの”か“ことば”か。騙され半分、正面から見てみることにした。(t)
ヒアシンスハウス
設計:立原道造
竣工:二〇〇四年
場所:埼玉県さいたま市南区 別所沼公園内
   
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